目標

自分が立てる目標は、たいていが達成されないとよく藤山あたりに笑われますが、それには一言も返す言葉も無く、かといって別に恥じることでもないといったところでしょうか。確かに、立てた目標が達成されたことなどほとんど無い。それは達成するつもりがそもそも無いからなのです。

旅行に行く時間や金がないにもかかわらず、旅行の本を読んだりすることもあると思います。その感覚と似ているのです。旅行の本を見たり、「行くならここかなー」などと旅行を思い浮かべることが楽しいのであって、それは決して無駄な時間ではないのです。効率の面で言えば無駄ですが、楽しさの点では断じて無駄ではない。

目標を立てるというのも、それと同じです。目標を立てて、それが達成できたらどんな風になれるだろうかと空想することが愉快なのです。あくまで空想、宝くじが当たったらどうしましょうとかそういうレベル。別に達成できなくても困りはしない。そんな目標ばかりこれまでは立ててきました。そして全部達成できませんでした。

しかし、近頃の清水を見ていると、人生は計画的に生きなければならないのかもしれないと不安になってきます。恐らく、彼の姿は本来あるべき就活生のものなのでしょう。彼は生活費を工面する必要もあって(まぁ無駄遣いも多いですが、自分も人のことを笑えたものではないので…)バイトに明け暮れてきたわけです。自分も「大学生活で打ち込んだことは何ですか」と聞かれたら、間違いなくアルバイトを挙げるでしょう。楽しく過ごすことが出来ました。

そして、むやみやたらと教養を追い求めました。流行に動かされない確固たる教養、それを獲得するために読む本も選んできましたし、楽しいだけの安易な道は選んでこなかったつもりです。そこも結構似ているはず。一時期は、海外文学を制覇するつもりでドイツ文学から二人で読み進めていきましたが、結局まだお互いトーマス・マンとヘッセで止まっています。これは卒論が終わったら再開したい。

人生に意味があることを優先的にしたい。だからこそ、自分は将来につながる塾講師としてバイトを続けてきましたし、清水はインストラクターとなった。それは決して間違っていないと今でも確信しています。ただ、自分には自分のことしか見えていなかった、世の中の動きに無頓着でありました。自分と清水はよく「正しいことはいつでも正しいのか」ということで意見をぶつけてきました。ここばかりはなかなか合意することが出来ませんが、「正しいことはいつでも正しいわけではない」と言い続けてきた自分も、それが出来ていなかったことに最近になってようやく気がついたのです。

人生にとって意味があることや教養を追求することは正しいことです。しかし、それは必ずしも世の中の流れではない。インターネットが発達した今、これまでとは学校の教育システムも変わるかもしれない。それでも自分は古典的な勉強法の正しさを盲信し、復古的に過ごしてきました。どちらが本当に正しいかはわかりませんが、世の流れを敏感に感じ取ることも必要なのは確かです。

テレビの無い生活。それは決して不便なものではない。下らないバラエティーなど見るくらいならば、読んでいる本をたった数ページでも読み進めたい。そう思ってきましたが、他の人との話題についていけないこともよくありました。小学生にタレントや芸人の名前を挙げられて「はい?」といったら笑われました。世の中に生きている以上、世の動きにはついていかなければならないのです。たとえそれが下らないことであったとしても。

それが清水の就活を見ていて一番に思ったことです。どうでも良い(ように思える)ランキングやデータ、それ以上深入りする余地のないものであったとしても、知らないでは済まされない。「何としても就職するぞ」という悲壮な決意の下に目的と手段が入れ替わってしまうような愚挙は避けたいところですが、社会に生きる人間として知っておくべきことはあります。

だから、来年は世の流れについていくことを目標としたいと思います。まずはテレビを買うこと、毎日ニュースは最低限見ること。そして出来れば新聞を読みこなし、ドラマ化するような作家の作品には目を通す。雑誌ももう少し読むようにする。映画館にも通う。もちろんこれは自分の時間を完全に確保した上でのことです。もう少し時代についていく。

知っているのと知らないのでは大きな差です。0と1とでは全く違います。その最初の一歩を踏み出したい。決して時代に流されるのではなく、自分のペースでついていく。それを来年の目標にしたいと思います。




ところで、清水が出版系に就職活動をかけているので、自分も来年やるかもしれないことを考えて調べてみました。教育に関する産業となると(塾・予備校業界以外)自ずと限られてきます。さっそく、吉川弘文館の採用情報を調べてみると・・・


採 用 情 報

 
 
 

採用情報をご覧いただき誠にありがとうございます。

2005年度の採用募集は、締め切らせていただきました。

あしからずご了承ください。

 

 

2004年5月          

株式会社 吉川弘文館 総務部 

バカにしてるのか!