何度目のことやら・・・

去年はかなりの数の本を読んだと自負していますが、一冊一冊の内容を思い返してみると、感動したはずの本でも案外結末を覚えていなかったりします。それは恐らく「あー超面白かったし☆」で終わってしまうからで、それ以上何もしないからでしょう。というわけで今年こそ、今年こそ読んだ本の簡単な感想文を全部書いていこうと思います。まだ新年始まったばかりなので大丈夫だ!

というわけで新年第一弾はこれ!

戦艦武蔵 (新潮文庫)

戦艦武蔵 (新潮文庫)

年始からいきなり重いのを持ってきました。吉村昭の名は書店で毎回見かけていたのですが、一度も読んだことがなかったので読んでみることにしたのです。この本を選んだのは単純におススメされていたからで、別に深い意味はありません。しかし、おススメだけあって良い本でした。まずこの人の文章が良い。一言で言えば武骨な文章で、余計な装飾がなされていない。三島の美しい比喩とは対極にあるような謹厳実直な文章で、昭和の戦争時代を表現するに適した書き方だと思います。

内容はタイトルの通り戦艦武蔵の建造から沈没までで、進水までに7割程度割いています。進水時には思わず「やった!」とガッツポーズしたくなるほどに緊張感溢れる文章で、山本五十六に世界三大バカの見本とまでこき下ろされた戦艦(大和の方ではありますが、恐らく大和型戦艦ということでしょう)であっても、そこに命と誇りをかけた人がいたことが感動を呼びます。プロジェクトXが好きな人には是非おススメです。

ただ、沈没以降の描写があっさりしすぎているといえばそんな気もしました。進水までが本章で、戦場での武蔵はおまけの位置付けなのかとも感じました。進水に文章のピークが来ていたので、読了感はそれほどではないかもしれません。それでも、アジア・太平洋戦争をひとつの巨大戦艦という視点から眺めるには適した本だと思いました。