子曰く、格差とは何ぞや、と。

本日は統一地方選挙、市区町村議会の選挙の日です。横浜市はどうやら選挙がないようなので静かで大変結構なことですが、東京はうるさいことうるさいこと。あれは騒音以外の何物でもありません。「ご迷惑をおかけしております」なんて叫んでいるほうがよほど迷惑だ!と車に乗り込んで一喝したいところですが、選挙妨害で逮捕されること間違いないでしょう。

ところで、ここ数年の選挙で話題に上りやすいものとして「格差問題」があります。特に「格差問題」を論じるのは野党であり、与党はそれほど触れてはいません。むしろ、野党の中でも共産党社民党といった議席数の少ない政党が問題にしているのに対し、野党第一党民主党共産党社民党ほどには強調していない気がします。

何気なく使われている「格差」という問題ですが、果たしてどのような問題なのか、具体的に踏み込んで説明してくれている政党や立候補者というものはいない気がします。新聞やテレビでも具体的数値を示して、こういう問題ですと説明しているのは多くはありません。なんとなくイメージは出来るけれども、どうもはっきりとした実像は見えてこない。逆に日本ほど格差のない国はないという主張も起こっているように、解釈によって問題の捉え方も全然違っているようです。

一口に「格差問題」といっても、様々な種類があります。例えば、学力格差や教育格差といった種類のもの、地域格差や医療格差、所得格差などなど、色々です。恐らくこれをまとめて「格差問題」と呼ぶのでしょうが、これらの問題の根底には、「金がない」という共通点があります。

例えば、先日(といってもかなり前ですが)財政破綻した夕張市では、公立病院で受けられる治療の種類が減ってしまっているようです。腎臓病のための人工透析などは受けられないようになり、足の弱い高齢者たちが困っていると聞いたことがあります。これはいわゆる医療格差というものなのでしょう。夕張市財政破綻をしてしまい、金がないために高額の治療を公でやるわけには行かなくなった。高レベルの私立病院は経営上の理由で夕張には進出できない。金がないという問題が、医療格差として表面化しているといえます。

これから先の時代には、恐らく第二、第三の夕張市が誕生することになるでしょう。そうなると、「負け組」の地域には中央や「勝ち組」地域から支援してあげれば良いではないか、というわけには行かなくなります。今は夕張市だけでいいかもしれませんが、それが増えていけば支援が追いつかなくなることは目に見えています。

この問題を解決することなしに、日本の未来はないといえば今は大げさかもしれませんが、将来的にはそうなってしまうでしょう。格差問題というものは、早いうちにその目を刈ってしまう必要があります。確かに憲法改正も急務ではありますが、それと同じくらいに重要な問題なのではないでしょうか。
かといって、野党の主張が正しいとは思えません。格差の是正を主張すること自体は良いことだとは思いますが、その方法が的を得ているとは言いがたい。

結局、どこかから資金を調達し、それを「負け組」地域に与えようというわけです。これは一時的にはやらなくてはなりません。地域活性化のためには起爆剤としての資金が必要となります。そのために資金を調達することは必要ですが、いつまでもその支援を行うわけには行かない。必要資金の後は自立していかなくてはならないのです。

起爆剤としての資金をどこから調達するのか、それが問題です。経済というものはゼロサム的ですから、富裕層から集めるしかありません。富裕層といえば、大企業、先進地域などがそうでしょうか、とにかく余裕のあるところ。仮に大企業からの税を増やし、それを格差是正に当てたとします。これは正しいようにも思えますが、果たして長期的な意味で有為なことなのかと疑問に思います。

日本は経済一流、政治三流といわれる国です。資源も特に何があるわけでもありません。出るのは石灰石くらいです。となると、国を支えていくには経済と教育(技術は教育で養われるとして)しかありえない。経済を発展させるには、単純に考えて流通を促進し、企業の利益を増やすことで市場を拡大し、さらに利益を拡大することでしょう。技術革新も大きな影響を与えますから、教育を忘れて経済を論じるわけにはいきません。

経済の拡大を阻むのは、企業活動の制限です。もちろん、独占禁止法などの最低限のルールを無くすわけには行きませんが、独占に達しないぎりぎりのレベルまで自由を認める必要があると思います。そういった意味では、増税は一種の企業活動の制限であり、経済の発展を阻害するといえないこともありません。当然のことながら、税金の使いようによっては、市場を拡大することになりますが、公共事業の民営化が進むこの時代に、政府活動が経済の発展に大きく寄与するとはちょっと考えにくい。

同じように、庶民に対する増税も、需要を減退させる理由になりかねないために、慎重にならなくてはなりません。法人税を上げれば、企業の利益が減り、間接的に給料も減ってしまうわけですが、逆に所得税を上げれば、需要は縮小し、企業の利益が減ってしまいます。両者は一蓮托生であり、どちらをどうすれば良いとかそういった問題ではない気がします。

このような問題を、野党は単純に、庶民に対する増税反対、法人税減税反対、正規雇用拡大、賃金上昇の要求で済ませていますが、それで解決できるとは到底思えない。正規雇用を拡大させ、賃金を上昇させるためには、経済の発展が先になくてはならないし、そのためには法人税の減税や企業への優遇措置が必要です。企業に対する規制を厳しくしておきながら、正規雇用の拡大や賃金上昇はありえない。

発想力のない自分には、このような格差問題を解決するための問題にすら解決策を見出すことは出来ませんが、しかし、今の流れが決して正しいわけではないと思います。よく「提案もないのに反対するな」といわれますが、何かが間違っている。。。きっと東大出身の賢明なエリート官僚たちは見事な解決策を打ち出してくれることでしょう。さすが東大!

とりあえず、日本の問題を論じるときに、まず考えるべきことは、日本が経済立国であるということだと思います。経済が没落した日本には合理的な価値は何もありません。経済構造が大きく変化しているこの時代は、決して日本にとって不利な時代ではありません。情報産業の拡大は資源のない日本に有利に働きます。情報産業の発達には情報教育が必要ですが、インフラが整備されており、大学全入時代を迎える日本には充分な教育機会が与えられています。そろそろ、時代の流れの変化を汲み取って、それを政策・法律に盛り込むようにしなくてはなりません。

というわけで、前世紀の遺物である宣伝カーは廃止になりませんかね。