それはないだろ・・・常識的に考えて

春期講習の休み時間中にふらっと近くの本屋に寄ってみたら、こんな本があったので買ってみた。

松下政経塾とは何か (新潮新書)

松下政経塾とは何か (新潮新書)

政見放送などで時々名前を聞く「松下政経塾」だが、いったいどのような団体なのかさっぱり知らなかった。そのため買ってみたのだが、実に面白くない内容だ。四半世紀前に創立された歴史ある政治家養成塾なのであるが、この本は基本的にその歴史を追っている。そして政経塾の生徒がその後どのようにして政治の世界に飛び立ったのかということを書いている。

自分がこの本に求めたのは、個人の結果などではなく、松下政経塾の経営理念や具体的にどのような授業をしているのかということだった。経営理念については松下幸之助が存命中に述べたことなどが書かれているが、必要な「塾是」などには触れられていない。政経塾がどのような風潮をもたらし、現在どのような状態にあるのかということを書かれても、政経塾の本質が見えてくるとは思えない。

確かに、タイトルからは嘘をついているとは言い切れない。ただ「何か」と問うているわけだから、その本質に迫るような内容を求めるのではないだろうか。具体例の羅列ではなくだ。特にこの本の中には山田宏という人物の行動が詳細に描かれているが、この人物のことを聞きたいんじゃない、と言いたい。それならば松下幸之助がどう考えていたのかと言うことをつぶさに書いてくれたほうがよほどわかりやすいのだ。

もちろん、幸之助が死んでから長い時間が経過しているので、塾の方針などは変わったことだろう。それならそれで、塾長や塾頭の話、それから生徒自身の考えを教えてもらいたかった。彼らが選挙で勝った負けたと言うのは所詮政経塾とそれほどかかわりがあるわけではなく、単なる結果なのだから。

どうやら、この本は失敗のように思えて残念だった。