和み系(★★★★☆)

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

前々からずっと読みたかった本だ。あまりに待っていたので、2日間の通学中で読みきった。

人間は、いつでも過去の出来事を後悔しながら生きている。「もっと早く試験準備をしておけば良かった」とか「昨日寝るんじゃなかった」というような軽い後悔に始まり、「どうしてこの人と結婚したのだろう」とか「どうしてもっと早く病院に行かなかったのだろう」と言った深刻な後悔まで様々だ。そしていつも過去に戻ることを望んでいる。人間は後ろ向きな生き物だ。

この本は、それをやってみる本だ。未来の自分が、過去に戻って現実を変えようと闘う。しかし、それほど甘い話ではない。逆に未来を知っているからこそ、辛くなることがある。未来を知っているからと言って、過去を適切に変化させられるわけではないのだ。

何でもかんでも主人公の思惑通りになるわけではないので(というかほとんどならない)、少しもどかしさを感じるかもしれないが、その辛さや葛藤こそが、この本の醍醐味だと思う。人間の悩みを、現実を超えた視点から、それでいて現実的な考え方で描いている。

全体的にゆっくりと進む本だ。何も予定のない昼下がりなどに読むと、気分が和んで良いかもしれない。