忌々しきバベルの塔

外国人の研究の本は、読みにくい。それは翻訳のせいであって、研究者のせいではない。そして翻訳家のせいでもないだろう。違う言語を完全に同じ意味で捉えようとすること自体が不可能なのだから、違和感は仕方ないことではあるのだが・・・

専門ではない分野の専門的な本を読むとそれをよく感じる。日本人が書いた本というのは読んでいて自然に頭に入ってくるのだが、外国人の書いた翻訳本は読んでいても上辺だけで滑っていってしまうような感覚に襲われる。比喩だとか具体例の挿入が、きっと日本語とは合わないのだ。何とも言い難い感覚ではあるが、困る話だ。

こういうときに、語学をしっかりしておけば良かったと後悔する。もちろん、中学生以降に留学もしないで他言語を学んだとしても、ネイティブのように理解することは不可能だろう。あくまで理想の話ではあるが、外国の本は出来る限り原書で読みたかった。原書で読んで、現地の考え方や感じ方で接してみたかった。

翻訳家というのは、実に大変な仕事だと思った。自分には語学の才能以前にとても出来ないに違いない。言葉の壁の厚さを嘆く今日この頃。