ロボ不動産

昨日、渋谷で引っ越し先の物件を探してきた。やはり学生二人が家を借りるということには抵抗感を覚える人が多いらしく(当然だが)、親の収入証明だとか色々必要になりそうな感じだった。実に面倒だ。それに初期費用が30万円くらいかかりそうで、これまた学生からしたら気が遠くなりそうな値段だ。親から借りるほかないとは思うのだが、果たして貸してくれるかどうか・・・

それにしても、不動産屋のあのテンションは何なのだろう。服屋の店員がやけに積極的に話しかけてくるのと似ている。もちろん、不動産屋は一対一の対応なのだから、話しかけるのは当たり前なのだけれど、あの雰囲気は耐え難い。笑顔で対応してくれるのも結構なのだが、返事するときにこっちも合わせて笑顔対応というのが困る。何で客が店員に合わせないといけないんだ!

理想としては、淡々と「こちらの物件は築〇年で〜」と簡潔に情報だけ示してくれて、質問に答えてくれるだけが良い。最低限話し方に抑揚をつけてくれればそれ以上のスマイルは不必要だ。「僕もここと同じ種類のマンションに住んでまして〜」などというプチ情報なんかはいらないのだから。服屋の店員が「僕もこの服買っちゃったんですよー」というのと同じくらいにどうでも良い。

さすがにコンビニの店員ほどに無関心というのはそれはそれで困るのだが、もっと落ち着いて話して欲しい。何というか、「絶対に今日契約させてやる!」という裏に隠したつもりの気持ちがガンガン伝わってくるのだ。それでお客様第一とか言っているのだから片腹痛い。そんなこというならまず客の要望聞けよ!と。

今の飯田橋の家を探しているときの不動産屋もそんな雰囲気だった。実際に車で物件を観に行くときも「普段は何してるんですか?」なんて聞いてきて、「大学で歴史やってます」というと「僕も歴史好きなんですよーどの時代なんですか?」という風に質問を重ねてくる。もういいよ!黙って運転しててください!と思った。

自動車教習所の教官も若いとそんな感じがする。最も教習所というだけあって雰囲気は教官側が上で、万事上から目線で聞いてくることが多いのだが。

「え、普段何してるの?」

「バイトと大学ですかね」

「大学楽しいでしょー?」

「まぁ・・・楽しいです・・・?」

「そうだよねーあたしもあの頃に戻りた、あ、次右折です」

(・・・お前言うの遅えよ!)

といった感じで。こっちは運転に集中してるんだから黙れえええええ!といいたいのだがいえないのが哀しいところ。その辺は雰囲気で感じ取ってくれるとありがたい。自分みたいな「余計な話はしないで良いです」という雰囲気は感じ取りやすいと思うんだけれども・・・まぁそれが仕事というものなのでしょうかね。

そんな自分で良いのかなー?とは思うのだけれど、別にプライベートなのだからそんなのは自由だ。仕事で愛想がないのはそれはもちろんダメだけれど、客に合わせることは必要だろう。愛想を振りまきまくってくださいなんて思っていないのだから、もっと簡素に対応してくれて良い。とりあえず関係ない質問をするのは勘弁してください。

あぁ、店員のいない服屋があれば良いのに。それは本当に思う。心からそう思う。あとは美容院とかどうにかならないものだろうか。あのいかにも「お洒落ですよーうちはお洒落に気を使ってますよー」という雰囲気がたまらない。もちろん、たまらなく嫌なのだ。「お洒落になりたい人は是非来てください!」という開放的な雰囲気というよりは、「お洒落に気を使わない奴は別に来なくて良いです」というような昨今の風潮・・・まぁそういうわけで美容院は恐ろしいです。

あとは美容師との話が苦手。基本的に多くを語るのが好きではないというのがあるのですが、これも前例と同様に知らない人と関係ない話をするのが大変です。ちょっと喋るくらいならば別に問題なくこなす、そう、まさに「こなす」感じで出来るのですが、時が止まったときの雰囲気の停滞っぷりは異常。(あぁ・・・何を喋ろう・・・どうしようどうしよう会話が止まっている!)という感覚。これもまた美容院が恐ろしいところたる所以です。

おかげで今でも小学生から通っている床屋に1.5ヶ月に一回くらいの割合で通っています。そこでは「いつもの感じで」といえば通じるのでとても便利。しかも床屋だから(これは決して床屋を美容院よりも格下と考えているわけではなく)気軽に、というか安心して入店できるのです。頭を洗うときにちょっと苦労するだけで、あとはすっきりと散髪できるのはありがたい。本格的に引っ越したときにどうしようか今から悩んでいます。

不動産屋と服屋と教習所教官(若手)と美容師の話や話し方に共通点は何かあるのでしょうか。きっとあると思います。でも不動産屋と服屋、教習所教官と美容師のグループに分かれると思います。

まず不動産屋と服屋は何が共通しているのかというと、「客に商品を買わせることが仕事」であること。何気ない(ように見せかけた)会話でもセールストークになるのです。直接はビジネスに結びつくわけではないのですが、顧客と親密になることで間接的にプレッシャーを掛けているのです。「僕とあなたの親密さに免じてここは買っていただけないでしょうか?これだけ一生懸命説明したわけですし・・・」という非言語プレッシャー。これがあるのが不動産屋と服屋なのです。

だから不動産屋たちはしつこい感じがするのです。押し付けがましいというか、雰囲気で乗り切ってしまおうという気持ちが思いっきり出てしまいます。だからこそ簡単に断れるという人もいれば、逆に断りにくいという人もいるでしょう。自分は基本的に後者ですが、最近は意識して前者たるよう心がけています。もちろん、悟られないようにしているつもりなのですが。

それに対して、美容師・教官グループは、極端に言えば、話など一切無くても良いのです。そこは全く個人の裁量で、人それぞれです。客も美容師(教官)も話したい人もいれば、話したくない人もいるでしょう。そういうときに、話好きな美容師(教官)と話嫌いな客が組み合わさってしまって、さらに美容師(教官)が相手方の反応を上手く読めていなかったとしたら、それはそれで別の地獄です。他意が無いだけに切りどころが無くなってしまいます。

となると、結局知らない人と関係ない話をするのが苦手な人にとっては、どちらも嫌な状況なのです。そういう意味では、大した差は無いかもしれません。むしろ打算的な不動産屋グループのほうが割り切れて良いかもしれません。とりあえず顧客第一主義というのを、もう一度考え直したほうが良いのじゃないのでしょうか、と昨日の不動産屋には言いたいと思います。昨日の不動産屋は特に顧客第一主義を掲げていたわけではないですが。



そんなわけで理想的な買い物シチュエーション例をここに書くことにします。これに同意してくれる人はたくさんいると思うのだけれど、何故実現しないのでしょうか・・・?

('A`)「・・・」

( ^ω^)「いらっしゃいませー」

('A`)「・・・」

( ^ω^)「・・・」

('A`)「・・・」

( ^ω^)「・・・」

  (中略)

('A`)「・・・あの」

( ^ω^)「はい、何でしょう?」

('A`)「これの28cmのはありますか」

( ^ω^)「はい、ただいま在庫を確認してまいります」

  (中略)

( ^ω^)「ございました。こちらです」

('A`)「ありがとうございます」

( ^ω^)「どうですか」

('A`)「大丈夫です、これください」

( ^ω^)「ありがとうございます、レジはあちらです」

  (中略)

( ^ω^)「ありがとうございましたー」

('A`)「(ニコニコ)」

服屋がみんなこんなのだったら良いのに。