日本史学特別研究Ⅰ最終章

だいぶダラダラ書いてしまったこのシリーズ。今日こそ完結させます!長くてつまらない文章を読んでわざわざコメントくれたchunyaには感謝感謝です。今度飲みに行きましょう笑。

というわけで、情報技術の進歩、衛星を用いていつでもどこでも最新の情報を手に入れることが出来るようになったことで、組織形態が変わり始めた。情報量の制約によって制限されてきた組織下部の能力が、これからこそ求められる。少数精鋭の組織ではなく、様々な立場から見た考えを取り入れられる組織が強くなる。時代は個性化しているので、単一大量の製品提供は時代に沿わず、没落していく。

自動車会社大手のフォードでは、ピラミッド型組織をひっくり返すような組織が目指されている。これまでは他と変わらずに上層部が下部を管理する体制であったのを、上層部が下部を支える体制へと移行させる。下部の発想を積極的に取り入れ、その実現を最大限サポートするということだ。現場の意見というものは、非常に重要であるにもかかわらず、これまでは組織の構造上受け入れられないことが多かったのだが、逆にそれを聞きに行こうとする。

GEの前会長ジャック・ウェルチも『組織の力を最大限活かすためにリーダーがすべきことは、「司令統制」ではなく、「司令」のみである』と言っていたが、全く同じことだ。統制してしまっては、それぞれの個性が発揮されない。事実、彼がGE会長になってからというものGEは世界の超一流企業となった。彼は女性問題などのスキャンダルをいくつか抱えていたようだが、自分としてはその仕事に対する情熱と才能に心底感じ入るところがある。

話がずれた。では、逆ピラミッド型組織では問題はないのかと言えばそうではない。逆ピラミッド型組織であるということは現場の権限を拡大するということであり、同時に今までは上層部が背負っていた責任が下部にのしかかるということでもある。米軍においては一兵士にミサイルを発射する権限を与えるようだが、その兵士が判断を誤ると被害が拡大することになる。

結局どういうことなのか。現場の権限拡大に伴う責任増加とは、下部の人間が高い能力を持っていることが前提になっているのである。下部が何も考えていないようなところで逆ピラミッドを実施してしまうと、逆に組織全体を危険に陥れてしまう可能性すらある。そして更に、今までは己の仕事のみのエキスパートであれば良かったのであるが、それでは済まされなくなってくる。権限拡大には、総合的な判断力が必要なために、何か1つに精通しているだけでは、他の視点からの評価・判断が出来ない。

だからこそ、この情報技術が発達し組織構造が変わりつつある今こそ、自分達には高い能力と高い教養が求められるのである。理系が哲学を勉強しなくても良いということはなく、文系が数学をやらなくても良いなんていうことはないのだ。全てに精通する必要はない。少しだけでも良いのだ。何かに精通していながら、一見関係性のないように見える他のことにもある程度知っておく。大きな権利を与えられる期待に応えて、努力しなくてはならない。無駄なことなど何もないのである。

今こそ、教養高い人間になるべき時期なのである。