資料収集の前に、課題を的確に捉える。

「まずは問題をよく読みましょう」

塾の、特に国語の授業でよく言う台詞だ。問題作成者が何を答えてほしいと思っているのかそれを正確に捉えることが正解への第一歩だと思う。これは大人になっても、また普段のコミュニケーションでも同じことであって、欠くことの出来ない視点である。

もちろん、大学・院の課題も同じ。教授が発表に何を求めているのかを正確に把握しなければ、トンチンカンな発表になってしまう。しかし、今回は特にそれが難しい。今回の発表のテーマは「編集史」である。編集が歴史に与えた影響を考えていくのだが、雑誌や書籍そのものには編集のポイントなどに付いて書かれていない。編集とは裏方の作業であり、表に出てくるのは作家・著者の才能だけなのだ。

だから、編集を調べるときにはその裏の事情を調べなければならない。その書籍がどのような経緯で、いつ、誰と構想されたのか。出版に至る紆余曲折を調べる。だが、それはどこにあるというのか。

先生が最初の2ヶ月を利用して、見本を見せてくれた。テーマは柳田国男の編集能力。柳田の関連した雑誌をいくつかあげ、そこでのやり取りを詳しく示した。確かにそこには柳田の民俗学にかける一貫した思いと、その目的達成のための手段・方法としての編集方法が見られた。

続く・・・