怖い夢

実に嫌な夢をここのところ見続けている。嫌な夢が連続するというのは、余程日常に心配な出来事があるのではないかと思うが、それほどまでに心当たることがないので逆に怖い。昔は天井が落ちてきたり、洗濯機に襲われるという一種のSFホラー的な怖い夢が多かったが、大人になるとリアルすぎて怖い。高校のときは宿題を忘れた夢を見て、起きて寝間着を着ていることにも気付かずに慌てて宿題をやるというものだった。宿題なんてなかったのに。

昨日の(あるいは今日の?)嫌な夢の内容は、1つが死ぬ夢、もう1つがバイトの夢だった。小学生をターゲットとしたアニメ映画のような豪華二本立て!どっちもありえる話だが、死ぬ夢はフィクションというかありえない内容だった。なぜなら自分にイキガミが届くという夢だったのだから。きっと寝る前にイキガミ4巻を読んでいたからだと思うが(4巻はやけに面白い)、「自分は死ぬんだ」という言いようのない絶望感は忘れがたいものであった。

これです↓

イキガミ 4 (ヤングサンデーコミックス)

イキガミ 4 (ヤングサンデーコミックス)

詳しく書くと、配達員からイキガミもらってないのに、なぜか自分がイキガミをもらっていることを知る(まぁ夢にはありがちな話)。そしてイキガミをもらうのは死ぬ24時間前だから、今日中に死ぬことは間違いない。今日中に死ぬということに気がついたときは特に何も怖くなかった。「そうか・・・死ぬかぁ。1000人に1人だというのに、まさか自分が当たるなんてなぁ」といった感じに、恐怖に打ちひしがれるどころかどこか達観してしまったような感じだった。

とりあえず神楽坂に居たので、バイト先にもう授業には行けない旨を伝えに行った。室長に「どうやら今日私は死ぬようなので、大変申し訳ないんですが、もう授業は来れません。受験学年を持たせていただいたのに、生徒達には本当に申し訳ないと思っています。今までお世話になりました。ありがとうございました。」と言ったら、室長は「あぁ、そうなんだ、わかったよー」なんて軽いノリで言うものだから何だか複雑な気分になった。

バイト先を出て、神楽坂から飯田橋に向かう坂の途中で「1000人に1人しか当たらないのか・・・ということはうちの高校の生徒が1学年200人くらいだから、同規模の学校5校に1人の割合でイキガミをもらうことになるわけだな」などとやけに冷静な、そしてわけのわからない理論を思いつき、「これはすごい確率だなぁ」と一人感心していた。

実家に帰って両親と兄弟に別れを告げようと飯田橋駅を目指していたら、携帯が鳴った。溝尻からの電話だった。「一体何なんだ」と思い、出てみると

「おぉ、生きてたか。イキガミもらったんだってー?」

などとぬかしやがるので、

「そうそう、まさか俺に当たるとはねw。まぁマンガみたいな死に方が出来るんだから、それだけは良しとしないとなw」

と気丈に振舞いました。「マンガみたいに〜」という項目は半分本気でそう思った。それはそれで病んでいると思う。そして特に何があるでもなく、電話を終えた。

電話を切って、一瞬置いたその時だった。言いようのない恐怖感、死を免れない運命に対する怖れが全身を襲ってきた。「自分の命はあと数時間しかない・・・」そう思うとまともに立つことも出来なくなっていた。恐らく、電話のときに無理して気丈に振舞った反動のせいで、死を怖れる本心の存在に気がついてしまったのだ。死を認識してしまったが最後、もう冷静ではいられなかった。

心臓が波打ち、膝はガクガク震えた。その場に座り込んでしまい頭を抱えた。周りの世界が歪み、ぐるぐると廻りだした。どうしようもないのに、どうしたら良いのか必死に考えた。不思議なことに「まだ死にたくない、まだ知らないことがたくさんある。やってないこともたくさんある。でも、もう何もすることが出来ない」そういう考えは浮かんでこなかった。後悔よりも動揺が勝り、とりあえず携帯電話を必死に握り締めた。

家に帰っている時間すら勿体無い。誰かに連絡しないと、そして誰かに会わないといけない。このまま死んだら死んでも死に切れない。そう思って必死にアドレス帳を探す。何人かをピックアップして連絡しようと思ったその時に、「果たして連絡すべきなのか」と思ってしまった。今更慌てて会いに行ってもどうしようもなく惨めなだけだ。どうせ自分はあと数時間で死ぬ、その取り乱した状況で会って何になる。会わないほうが良いじゃないか。それでも会わないと後悔する気がする・・・

会うべきか会わないべきか、携帯を握る手に汗が滲んでくる。手も震える。どうしたら良い、どうしたら・・・





と思っていたら目が覚めた。寝汗はかいていなかったが、鼓動は早かった。やはり真剣に死を怖れ悩んでいたのだろう。それにしても実に嫌な夢だった。1つは自分がこれほどまでに死を怖れていることに気がついたこと、そしてもう1つは死の間際になっても自分が可愛くて連絡をする決断を下せなかったこと、この2点だ。

偉そうなことを抜かしながら、結局はまだまだこの世に未練がありすぎるようだ。そのこと自体は決して悪いことではなく、むしろ生に積極的であると評価しても良いくらいだが、それにしても後味の悪い思いだ。まだ解脱までの道のりは遠いようです。北海道では死亡事故に会いませんように・・・

そして連絡が出来なかったこと、そっちの方が身近で大きな問題だ。死ぬ直前くらい、なりふり構わず後悔しないように行動すべきなのに、それすら出来ない小心者。もともと小心者の自分ではあるが、まさかこれほどまでとは・・・実に情けない。こういうときに正直に行動できる人というのが立派な人なのだろうと思う。

夢で自己嫌悪することになるとは思ってもいなかったので、結構なショックです。これからはしがらみに気を取られすぎず、それなりに感情に正直に生きていこうと思いました。




もうひとつの夢は、ずっと探していた代講がいつの間にか見つかっていたというもの。「やったー!これで心置きなく旅行に行ける!」と大喜びして、代講の先生にお礼を言いに行こうと思ったら、なぜか社会の代講を理科の先生に頼んでいた!という衝撃的な展開。これじゃ代講にならないじゃないか!うわああああああああ!明日から旅行なのにどうしよう。。。いっそのこと病気になって入院でもしないだろうか・・・

という夢だった。前者の夢に比べれば、絶望感は比較すべくもないが、瞬間的絶望感ならばある意味代講探しの夢の方が勝っていたのかもしれない。それほどまでに、この9月に代講を見つけるのは大変なのだ。みんな8月は夏期講習で、大学がなくバイトも通常期間に戻る9月は旅行期間なのだ。だから代講を探したくても見つからないのがこの期間!

幸いにして、現実世界においては他の先生を拝み倒して来週分の代講を確保することが出来た。再来週分の代講はまだ見つかっていないが、何とかなるだろう。再来週だし。それにしても、代講の夢はリアルだった。神楽坂校だったらありえなくないところが恐ろしい・・・

さて、今日は良い夢見られますように。。。