秒殺ゴールだとさ。

W杯日本代表が合宿を行って、最終調整中だ。もちろん、試合もやるけれど、報道されている限りでは全部高校生が相手。12-0とか22-0とかで勝利している。その映像とか見ても、本気でやってるようには見えない。実に頼もしい限りである。







わけがない。フランスの松井が選ばれなかったことでジーコ監督に対して余計に批判的・悲観的になっている自分ですが、ひどいひどい。高校生とばかり試合を組むジーコジャパンもひどいと思うが、一番ひどいのは日本のマスコミだと思う。

日本代表合宿の報道をするのは当たり前だし、W杯前に大っぴらに代表批判をするとは思えないけれど、それにしても、高校生に大勝したからと言って「大丈夫です!やってくれますよ!」って・・・そりゃ確かに日本代表レベルでも神かと思えるくらいに上手な人間が集まっているわけだけれども、世界から見ればそれが一般人レベルに落ちるようなレベルだ。

コーチに来ていた元Jリーガーの林さんは、コーチとしての指導力だけでなく、実力も信じられないほどにあったし、身体も半端なく強かった。ただの高校生サッカー部員から見ると、超人の域なのだが、それですら代表選考に全く引っかからないような世界だ。ということは、日本代表の個人的レベルも、自分達からすれば計り知れないはずだ。

でも、そんな日本代表ですら、世界を相手にしては全くと言って良いほど歯が立たない相手がいる。ブラジル・アルゼンチン・ドイツ・イングランド・オランダ・チェコアメリカ・メキシコ・・・数え上げたらきりがない。アメリカなんかは、野球の国なのに徹底した組織プレーでFIFAランキング10位以内に食い込んでいる。

アンリ、ランパードルーニー、ジュリー、ジュニーニョロナウジーニョ、カカ、ロッベン、シェバ、カンナバーロ、カーン、バラック、ジェラード、デコ・・・こんな選手のレベルはどんなものなのだろう。自分には、想像すら出来ない。漫画を読んで「あり得ない」と思うことは多々あるが、彼らは現実にその「あり得ない」を実現しているのだ。さすがにキャプテン翼は無理だけど。

ブラジル代表やイングランド代表などは、その想像すら出来ない化物が集まったチームだ。そんな強豪ひしめくW杯で、「秒殺ゴール」?

「秒殺ゴール」とは、日本代表が高校生相手に試合をしているときに見せた速攻(?)パターンのことだ。サイドバックから前線へサイドチェンジのロングボールを放り込む。それを前線の選手が受け取り、素早く中に速いクロスを入れる。そしてFWがそこに詰めて点を取るというものだ。それを日本代表は最初のパスから10秒で点を取ることに成功した。相手は高校生であるが・・・

確かに攻撃開始から10秒で点が取れるというのは、速攻になる。だが、それはあくまで日本のレベルの話である。実際に、その「秒殺ゴール」も、「速い!」とはあまり言えないようなロングボールと、FWが最後のクロスを受けた後に無駄にごねたせいで時間をロスしている。調整試合だけれど、せめてFWはクロスに対して一発で点を取るような努力をするべきだ。恐らく、2秒は時間が短縮されただろう。

もしそれを、カウンターアタックに長けるチェルシーがやったら、何秒でゴールを取れるか。恐らく、3秒もあれば点が奪えるだろう。無駄なトラップを極限まで減らし、最高速のボールを放り込んでギリギリのところで合わせてゴール。最高の「速攻」だ。

世界最高レベルが3秒(勝手に自分が決めたのだけど…)だとして、日本代表は10秒。仮に2秒縮まったとして8秒。その差5秒だ。あまりに大きい世界の壁だ。

だが、それを嘆いても始まらない。今からたった2週間で5秒縮めようとするのは無茶な話だ。そんなに簡単な壁じゃない。しかし、マスコミはほとんど、リーグ突破は厳しいながらも可能だという見解を示している。と同時に、相手の脅威を必要以上に書き立てるという奇妙な性質を併せ持っている。

オーストラリアの誰が凄いとか、クロアチアの誰が怖いとか、それ以前にもっとやることがあると思う。サッカー経験者からすれば「秒殺ゴール」なんて言葉が出てくるわけがない。生きたスポーツ新聞みたいな人間が景気付けに名付けたのだろう。

マスコミとは、恐ろしいものだ。スポーツで多少盛り上げるための工作を行うのは構わないし、経済的に見てみればその方が良いかも知れない。だが、それは事実ではない。事実ではないことを公然と国民に発信していく。日本のマスコミは視聴率稼ぎに躍起になっているが、それが政治や経済の報道に持ち込まれたらたまらない。

スポーツに政治を持ち込むな!ということで、この辺で止めておきますが、恐らく日本代表はリーグを突破できないのではないかと心配です。でも松井が選ばれなかったからどうでも良いです。