自衛隊と政治

自衛隊イラク駐留の期限は今年の12月14日で終わるらしい。自衛隊の人々もようやく戦地

から帰ってこられる。派遣部隊は既に第6次くらいまで行っているから、「ようやく」って

感じではないかもしれないが、家族の方などは一安心なのではないだろうか。それに対し

て、アメリカは日本政府に対して自衛隊の派遣延長を要請してきた。イラク政府も治安の悪

化を理由に多国籍部隊の派遣延長を要請し、国連安保理でもそれが承認された。小泉政権

イラクにおいて憲法が制定され、治安が良くなったところで、自衛隊の復興支援を民間支援

中心に切り替えていく予定であった。だが、ここへ来てアメリカからの延長要請。最終的に

は政治判断となるのだが、小泉政権アメリカへの盲従振りを見ていると、派遣延長の可能

性が高いのではないだろうか。オランダは既にイラクから撤退して、(自国の意思を示した

ではないか)と感じなくもないが、現在の東アジア情勢や日本の憲法9条などの問題を考える

と、アメリカの要請を簡単には断れないのである。それは仕方のないことだ。だが、派遣さ

れて生命の危機にさらされている自衛官の立場はどうなるのか。これは日本の国土防衛につ

いても言えることだが、自衛官の命と言うものは、憲法の重みに対して軽く扱われていると

言わざるを得ない。戦前の教訓を生かして、文民統制が行われているが、現代ではそれが過

度に進み、自衛隊が政治の道具として使われている。ある自衛隊幹部が以前「われわれは自

民党の軍隊ですから」という趣旨のことをコメントしていた。ここが難しいところである。

自衛隊は必ず政治に従うものでなくてはならない。だが、自衛隊の命も決して軽く扱われて

はならない。現在の改憲議論では、制度面ばかりが議論の対象となっているが、もっと現実

に即した議論をしなくては意味がないと思う。