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徳川家康 vs ナポレオン
フランス初代皇帝であるナポレオンはこう言ったそうだ、「我輩の辞書に不可能という文字
はない」と。これを聞いてナポレオンの偉大さを思い浮かべる人は多いだろう。彼は一時期
ではあるがロシアとイギリスを除くヨーロッパを席巻し、大帝国を建設した。非常に軍事才
能に長け、政治面でも成功した非凡な人間である。
江戸幕府初代将軍徳川家康は、この世で長く勢力を保持する方法についてこう言ったらし
い、「身の程を知れ」と。家康は応仁の乱から大阪夏の陣までの永木にわたる戦国時代を終
わらせ、徳川幕府300年の礎を築いたこれまた非凡な人間である。
2人とも歴史上類まれなる優秀な人間といっても過言ではないだろうが、その思想には大き
な差がある。その差が上の彼らの台詞に露骨に表れている。ナポレオンは自分には不可能は
ないといい、家康は自分には限界があることを認めた。その差こそがナポレオンの破滅を導
き、徳川幕府の長期にわたる安定をもたらした。人間には限界がある。それを知らない者、
認めない者は大きな栄光を掴むがいずれ破滅への道を歩み、己の限界を認めることが出来た
者は大きな業績は残せないかもしれないが安定と確実性を手に出来る。どちらが自分の進む
べき道なのだろうか。自分の人生はもちろん1回しかない。危険を冒して大きな成功を手に
するか、それとも自分を知り、確実な成功を手にするか。それは各人の好みであり自由であ
る。しかし自分としては確実な道を歩みたい。決して誰かに敷かれたレールの上を走るわけ
ではないが、着実に物事を進めたい。自分の限界はまだまだわかったものではないが、少な
くとも今はまだ発展途上だ。その可能性に賭けて努力を続けていき、今は無謀といわれるこ
とでも確実な出来事にしていく。努力することは冒険ではない、冒険の準備だ。それを終え
てから冒険に望むかやめるかを判断すれば良いだけだ。つまり、今は頑張るしかない。そう
いうことだ。