何年振りでしょう・・・?

CL決勝戦終わったー!応援しているチームが勝つのは何年ぶりだろうか。3年ぶりくらいだと思う。去年はチェルシーで破れ、一昨年はアーセナルで破れた。特定の強いチームが好きというよりは、戦術がしっかりと確立しているチームが好きなのです。そして今年はバルサが来た!

正直な感想として、勝つべくして勝ったと思う。最初のフリーキックを取っていたら流れは変わっていたかもしれない。これは準決勝、エミレーツでのマンUアーセナル戦と同じ状況だ。その試合でマンUがワンチャンスをものにして試合の主導権を握ったように、バルサも一方的に押されながら最初のチャンスをしっかりとものにした。

戦術の違いも際立った。バルサは圧倒的に中盤支配力が強い。イニエスタとシャビのキープは大きな武器であるし、決して近距離での細かいパスで失敗がない。ウイイレでよくある「流れるようなパスワーク」というのがぴったり当てはまる。アーセナルも中盤からゴール前での細かいパスワークが特徴だが、実際強豪相手にはあまり通用しない。それを通してしまうのがバルサだ。

それでいてメッシ、アンリ、エトーというマンUに負けずとも劣らないFW陣が揃っている。FWだけでも十分にチームを牽引していく力がある。だが、結局決勝の鍵を握ったのはC・ロナウドでもメッシでもなく、中盤のプレイヤーだった。

マンUは中盤を基礎として攻撃を展開するというよりは、前線が引っ張っていく状況に中盤がついていくような戦い方をする。ルーニーロナウドパクチソンでつないで、その後ろからスコールズギグスが詰めてくる。パクチソンギグスはもう少し流動的だし、ルーニーの戻りは途轍もないものなので一言で言い表すことは出来ないが、前線が支えるチームであることには間違いはないだろう。また、ファン・デル・サールの圧倒的なセービング力をはじめとして十分なディフェンス力も備えている。

前線主導の攻撃力と高い守備力に支えられたチームであると思うが、案外中盤は薄い。プレミアの展開の速いサッカーには最も適した形であるかもしれないが、リーグが変われば事情も異なるのだろう。

マンUにとっての中盤支配は攻撃の停滞かもしれないが、バルサにとってのそれは攻撃の重要な要素である。中盤でのパスワークに劣るマンUには出来ない攻撃サッカーだ。マンUの攻撃の魅力は、展開の速さと広さにある。しかし、中盤を支配されてしまっては、その攻撃も出来ない。これまではマンUの攻撃力を抑えながら中盤を支配できるチームが無かったのだ。この試合は「史上最強」の呼び名の高いマンUに対抗する一つの方策を示したといえるが、これをバルサ以外のチームが出来るかといえば、それは無理であろう。

中盤ベースか前線ベースかという攻撃の性質の差が試合を決めたと思うが、そう考えるとバルサが準決勝でチェルシーに苦戦した理由がよくわかる。チェルシーはここ数年でモウリーニョサッカーからの脱却を果たし(つまらなくなったと思っているが)、中盤に重量級の選手をそろえてきた。バラック、デコ、ランパードなど、速攻を展開するというよりは遅攻でこじ開けるような。

だから、中盤での潰し合いになったために、バルサの中盤支配力を一方的に展開することが出来なかったのだと思う。それでいてチェルシーには守備力の高さがあるために、さすがのバルサFW陣も簡単にはゴールを奪えなかった。これが苦戦の理由だろう。

そういう意味では、スコールズの投入はもっと早くても良かったと思う。スコールズは速攻に適した選手とは言い難いが、中盤での安定したプレーを見せる。マンUボールになったときに、速攻と遅攻の両方の選択肢を得られるようになるはずだ。アンデルソンが消えていた(ギグスもだが)ことを考えれば、余計に交代を急いでも良かったのではないか。

全体を評して言えば、最初に言ったようにバルサが勝つべくして勝ったのだと思う。準決勝のエミレーツでのアーセナル戦で、マンUアーセナルを圧倒したときの両チームの実力差の半分くらいの差は出ていた。注目はメッシ対ロナウドに集まっていたが、実際には両選手ともそれほど目立った動きは無かった。メインフィールドは前線ではなかったからだ。

久々に戦術の違うチームの試合を見ることが出来て、とても満足した。現在の世界最強リーグは、他リーグを突き放してプレミアだと思うが、CLでのプレミア流サッカーの席巻には少々嫌気が差していたので、気分爽快である。次回は是非イタリアサッカーの復活を見たいと思う。

去年(だったような気がする)のCL準決勝、ミランホームでのミランマンU戦ではガットゥーゾロナウドを完璧に抑えてミランが試合を支配したが、そこにはイタリアサッカーの真髄があったと思う。やはりCLはサッカーのリーグごとの戦術の違いが見られるからこそ面白いのだ。

ところで、後半のマンUはひどかった。特に、スコールズのビスケスへのスライディングは一発退場でお釣りが来るくらいだ。もう少し当たり所が悪ければ、選手生命を奪うほどの怪我になっていたかもしれない。焦るところがあったかもしれないが、あれはいただけない。ロナウドのファールも目に余るものがあった。イエローカードが二枚出てもおかしくはなかった。

バルサで残念だった、というか不必要に感じられたのが、プジョルの攻撃参加である。ダニエウ・アウベスが累積で出場できない以上、プジョルが代わりにその役目を果たさなければならないのはわからないでもないが、アウベスに比べれば攻撃の面でははるかに劣る。色々なところがぎこちなかった。プジョルはリーガでも積極的に攻撃参加を見せるが、あまり役に立っているとは思えないし、むしろカウンターを考えればリスクでしかないかもしれない。ペップ監督は何も言わないのだろうか。

あとはフジの実況がメッシとロナウドの対決を際立たせようとしてそこばかりに注目していたのが耳障りだったくらいか。特に最初の20分くらいはそのことばかりだった。「あるべき構図」にこだわりすぎて、的確な実況にはなっていなかったと思う。でも2点目をとったのはメッシだし、スポルトなどでも勝利の立役者とされるのはメッシなのだろうか・・・どう考えてもイニエスタだと思うのだが。

やはりレベルの高いサッカーは最高だ。3時に起きて見るだけの価値がある。応援しているチームが勝てば尚更だ。来年もまた最高の試合を期待したい。年を重ねていくのは嫌だが、毎年CLだけは間違いなく楽しみである。