フランス、EU憲法案否決

フランスでEU憲法批准に対する国民投票が行われ、結果否決された。EUは近年、範囲を広

げ、また経済・軍事・社会の面でのつながりを強化しているが、今回のフランスの結果はこ

れに歯止めをかけることになるだろう。元々、EU内でも英仏独とその他の国では経済格差が

大きく、その是正が課題となっていた。理想を言えばその他の国が経済力を英仏独並みに上

げることであるが、実際は英仏独がその他の国々の負担を肩代わりしている状況である。つ

まり、EU内での結束が強まり、範囲が拡大されていくにつれて、先進国は動きにくくなるの

である。フランス国民はそれを権利の侵害と判断したのであろう。EUの巨大化を政府ほど歓

迎していないのだ。次はオランダで憲法批准国民投票が行われるが、それに先立つ調査によ

ると、反対派が60%以上であり、オランダでも否決される可能性が高い。またフランスの否

決がさらに追い討ちをかけるかもしれない。EUアメリカと対等に渡り合う勢力として独自

の視点を持ち始めているが、内実はそれほどまでに完成された組織ではないのである。